記事の監修者

弁護士  立花 志功
(札幌弁護士会所属 登録番号 55632)

経歴

●北海道大学法学部    卒業
●北海道大学法科大学院  修了
●司法試験予備試験    合格
●司法試験        合格

当事務所の強み

1 建物や土地を借りていて、明渡しを請求されている方へ

 家や土地を借りて生活をしている方や事業を行っている方にとって、賃貸借契約が継続するかどうかは、これまで通りの生活が維持できるかに極めて大きな影響を与えます。

 一方で、唐突かつ一方的に、家や建物の賃貸借契約の更新を打ち切る旨告知されて困っている方がいるかと存じます。

 


 当サイトでは、そのような方に払われる可能性がある、「立退料」について説明させていただきます。

2 立退料とは

 立退料とは、土地や建物の賃貸借契約を結んでいるケースにおいて、貸主から建物や土地の明渡しを求められた際、明渡しの正当性を基礎付けるために、賃借人に対して支払われることのあるお金です。

※法律的には、土地の場合、借地借家法6条、建物の場合、借地借家法28条に規定があります。

3 立退料が認められるケース

 では、立退料は、どういった場合に認められるのでしょうか。
 立退料が認められるケースとしては、

 

①土地や建物の賃貸人が、更新時期に際して、更新を拒絶する場合

②土地や建物の賃貸人が、契約期間中であるにも関わらず、契約を終了させる場合に認められることが多いです。

 

 ここで、認められることが「多い」と記載したのは、①や②の事情があれば、確実に立退料が認められるわけではないからです。

 すなわち、立退料とは、賃貸人の明渡しを「正当」なものとするために支払われる金銭であるため、金銭の支払いが無くても、裁判官の目からみて、「賃貸借契約を終了させた方がいいぞ。」と思われる状況であれば、立退料は支払われないのです。


 逆に言えば、今、賃貸借契約を終了とすることは、「賃借人に酷だぞ。」と裁判官が思う状況にあれば、立退料は支払われる可能性があるのです。

 

 また、貸主から賃貸借契約の終了を求められている理由が、賃借人の債務不履行による場合についても、立退料を請求することはできません。


 加えて、短期賃貸借など更新を前提としない賃貸借契約の場合、立退料は発生しません


 このような賃借人には、立退料を支払わずに、退去を求めることも正当化されるからです。このように、立退料が認められる事案か否かは、立退料の支払いが無いと、「賃借人の明渡しを正当化できない事情」があるかによって決まります。

4 立退料の相場とは?

 立退料の事件に際して、ご相談者様から、立退料の相場を聞かれることは、多いです。しかしながら、立退料は、裁判官が裁量の元、決定することが多く、明確な算定式はございません。したがって、相場を聞かれても「ない」と答えざるを得ないのが現実です。それでもあえて、立退料の相場を示すとしたら、下記の通りです(あくまで参考としてご覧ください)。

①アパート、マンション等の住居の明渡し

賃料の3~6か月分+移転のための費用(引っ越し代など)
※ケースによって、金額は異なります。

 

②業務(営業)のための賃借物件の明渡し(店舗等

 業務(営業)のための賃借物件の立退料については、住居に関する立退料に比べ、高額になることが多いです。具体的な目安に関しては、住居に関する立退料以上に言い難いですが(かなり幅がございます)、業務(営業)に関する影響が大きければ、数千万円の立退料が認められた裁判例もございます。

 以下、立退料として認められることがある、損害項目を記載します。


1 移転費用の補償分移転にかかる費用(梱包、運送、保険、分解取付調整費用、移転通知料)

 移転先取得のために支払う費用(敷金、権利金、保証金、仲介料)従前賃料から、移転先において増加した賃料の「差額」(2年分程度が多い)等を請求します。

 

2 営業権の補償分

移転先で、従前の営業と同一内容の設備で営業を開始するための費用、休業期間中の損失の補償分になります。

 

3 借家権の補償分

ここに関しては、様々な決め方があります。実務的には、加味しないこともございます。

 

③土地に関する立退料

 土地に関する立退料は、判例上、数百万から数億円規模まで様々です(これは、土地の利用価値に大きな差があることに起因します)。

 土地に関する立退料の決め方としては、当事者の申し出た額、移転実費、逸失利益、借地権価格等を加味して決めることが多いです。

 立退料として、どの程度の金額が妥当であるのかは、過去の裁判例や現在の交渉の状況、賃貸人、賃借人それぞれの事情を詳細に考慮しなければ、算定することは困難です。

 

 つきましては、一度、弁護士にご相談いただけますと幸いです。

5 弁護士に依頼するとどうなるか 3つのメリット

①不動産の専門家であるオーナー側と対等の交渉が可能!

 不動産の専門家であるオーナーや管理会社とまともに交渉しようとしても、相場もわからず何となく引っ越し費用のみで言い包められてしまうことも多いです。

 一方で、法律の専門家である弁護士に依頼すると、オーナーや管理会社と対等の交渉を行うことが可能になります。

 

②訴訟を見据えた対応が可能!

 立退料の交渉においては、訴訟になることもあります(また、すでに訴訟によって、明け渡しの請求がなされていることもあるでしょう)。


 また、訴訟ではなく、任意交渉の段階においても、訴訟になった場合どういう結論になるかを見据えて対応を決めなければなりません。

弁護士に依頼した場合、訴訟を見据えた対応が可能となり、交渉の「落としどころ」が分かるようになります。


③煩わしいやり取りをすべて弁護士に代行してもらえる!

 立退料の交渉は、相手方からの立ち退きに対する頻繁な問い合わせに答えつつ、行わなければなりません。

 しかしながら、このホームページを観ていただいている皆様は、仕事や家事が忙しく、そのような頻繁な問い合わせに毎回対応するだけの余力は持ち合わせていないかと存じます。

 

 一方で、弁護士にご依頼いただきましたら、相手方との煩わしいやり取りはすべて弁護士に任せることができます。

 このような精神的なメリットは軽視されがちですが、四六時中、立ち退きのことを考えなくてよくなるという精神的負担からの解放は、実は一番のメリットであると考えます。

6 どのタイミングで弁護士に依頼するのが適切か

 では、どのタイミングで弁護士に依頼することが適切なのでしょうか。
 私は、以下の3つのタイミングが適切であると考えます。

⑴ オーナーや管理会社から、賃貸借期間満了の数か月前に更新はできないと告げられたタイミング

⑵ オーナーや管理会社から、「立退料」を支払うから、退去してくれないかと提案を受けたタイミング

⑶ 更新はできないとして、訴訟提起がなされたタイミング


これらに該当しない場合も、まずは一度、ご相談ください。